エンジニアリング事業
ノリタケの概要

前田 智朗
加熱、混合、濾過、切斷の技術を核としたエンジニアリング裝置を、自動車、電子部品、化學、醫薬、食品などの様々な産業向けに提案し、ものづくりの現場の効率化、省エネに貢獻しています。お客様のご要望に合わせた乾燥爐や焼成爐、混合攪拌裝置、濾過裝置、鋼材の切斷機などの開発、設計を行っています。

主要製品
●高効率焼成爐ローラーハースキルン ●遠赤外線乾燥爐 ●混合攪拌裝置(スタティックミキサー等)
●クーラント濾過裝置 ●超硬丸鋸切斷機等
2020年度の業績
主力の乾燥爐や焼成爐は、コロナ禍における裝置據え付け工事の延期および設備投資の抑制により、主要分野向けの売上が減少しました?;旌蠑嚢柩b置は、食品分野向けは堅調でしたが、化學分野向けが低調に推移しました。濾過裝置は、國內では機械部品分野向け大型裝置の納入がありましたが、海外の需要が低調に推移し、売上減少となりました。超硬丸鋸切斷機は、國內外ともに自動車分野、工作機械分野の低迷により大きく減少しました。これらの結果、エンジニアリング事業の売上高は、187億20百萬円(前期比16.2%減少)、営業利益は18億71百萬円(前期比28.5%減少)となりました。
中期経営計畫の進捗
エンジニアリング事業では、第11次中期経営計畫の下、「競爭力のある新商品?新技術開発の促進」に取り組んできました。設備の納品には據え付け工事を行う必要がありますが、2020年度前半は海外渡航規制の発令により現地工事ができない事態になりました。また、新商品や新市場の開拓においてもお客様のもとへ出向くことができなかった時期が長期化し、開発、提案活動に遅れが生じました。
事業を上昇気流に戻すべく選択と集中を進め、新商品の開発や既存商品の高付加価値化に取り組んでいます。乾燥爐や焼成爐は、好調が続く電池材料分野および電子部品分野への拡販に注力するほか、自動車分野での新商品開発を推進しています?;旌蠑嚢柩b置は醫薬?化粧品分野へ、濾過裝置は自動車部品分野での拡販を行います。超硬丸鋸切斷機は、新素材用の開発と建築材料分野に注力していきます。
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スタティックミキサー -
ローラーハースキルン -
クーラント濾過裝置 -
食品殺菌裝置 -
ロータリーキルン -
超硬丸鋸切斷機(シンカットマスター)
中長期の事業ビジョン
エンジニアリング事業では、お客様の用途や要望に沿った機械?裝置を提供し、様々な産業のものづくりを支えています。焼成爐は、リチウムイオン電池、5G関連材料分野が好調に伸長しており、重點的に技術開発を行っています。愛知県小牧市にある當事業のヒートテクノテストセンターは、お客様から「こういう製品を作りたい」という相談を受け、最適なテスト機を選定し、溫度條件や搬送條件などを変えながら検証ができる施設で、こうした開発體制が急速に進化する電子部品分野の技術力を支えてきました?,F在も、焼成効率を上げたリチウムイオン電池材料用焼成爐の検証テストを行っています。また、電子部品では積層セラミックコンデンサ(MLCC)の本焼成工程の設備を提供してきましたが、この前後に、脫バイと再酸化という二つの焼成工程があります。この脫バイ、本焼成、再酸化の一連の工程を1臺で完遂するシステムを新たに開発中で、すでに検証段階に入っています。さらに、材料不足の懸念などを踏まえ、新たな電池材料への対応も準備しており、今後は、當社にない技術を持った外部機関とも連攜し研究開発を積極的に行っていく考えです。
一方、混合攪拌裝置については、これまでバッチ処理で行われていたラインを連続式に切り替えることができるフロー合成システムが完成し、主に醫薬品、化粧品分野に拡販を行っていきます。これは、昨年開発した超小型のスタティックミキサーを活用し、システム化したものです。他に、微細な泡を発生させるファインバブル発生器も用途開拓を進めています。濾過裝置の主力アイテムの一つが歯車研削裝置向けです?,F在、歯車研削では油性クーラントが主流ですが、當社では環境にやさしい水溶性クーラントに対応した濾過裝置を拡販しています。
こういった施策を安定して継続していくためには各産業の製造現場における知見を備えた専門人材が不可欠です。今後も人材育成に一層力をいれていきます。當事業は、つねに未來を見據え、描いたビジョンに向けて、邁進していきます。
TOPICS
世界初、ガス燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成爐を開発
ノリタケは、特殊セラミックラジアントチューブバーナを採用した世界初のガス燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成爐を開発し、2020年8月より販売を開始しました。この製品は、ノリタケの焼成爐技術と東京ガス?TGESのガス燃焼技術の融合により生まれ、最大40%のエネルギーコスト削減を実現する高効率な加熱裝置です。近年需要が高まるリチウムイオン電池電極材の製造工程で、求められる高溫度(1,000℃以上)での安定した熱処理を行います。ガス燃焼式による高溫焼成の課題を3社の技術を合わせることで解決し、製品化を実現しました。

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